近年の食中毒について

近年、食中毒は依然として公共の健康問題であり続けていますが、その原因や発生状況にはいくつかの特徴があります。過去数年間で発生した食中毒事件の中で、指摘されたいくつかの主要なトレンドやポイントを以下に示します。

増加する家族内感染

家庭で調理する機会が増えることで、家族内での感染が増加しています。特に、以下のような場合に家庭内での食中毒が発生しやすくなっています。

  • 調理時の衛生管理の不徹底
  • 十分に加熱されていない食品の摂取
  • クロスコンタミネーション(生肉と他の食品の接触)による汚染

国際的な食材の利用増加

グローバル化に伴い、輸入食品の利用が増加しています。これにより、海外の食材が原因となる食中毒が発生するリスクがあります。特に、以下の点に注意が必要です。

  • 輸入された海産物や農産物
  • 国際的な食品チェーンで流通する食品

新たな病原体の出現

伝統的な食中毒の原因となる細菌やウイルスだけでなく、新たな病原体も出現しています。これにより、対応が困難なケースが増加しています。

  • 新型の細菌株やウイルス
  • 抗生物質に耐性を持つ病原体

既存の病原体の再浮上

従来の食中毒の原因となる病原体も依然として問題です。例えば、カンピロバクターやサルモネラ菌、ノロウイルスなどは、引き続き高い発生率を示しています。

予防策の徹底が必要

食中毒の予防には、個々の注意が重要です。基本的な予防策を徹底することで、感染リスクを大幅に低減できます。

  • 手指のこまめな洗浄
  • 食材の適切な保存と取り扱い
  • 十分な調理と加熱
  • 衛生的なキッチン環境の維持

統計と傾向

最新の統計データによると、以下のような傾向が観察されています。

  • 家庭内で発生する食中毒の割合が増加
  • 夏季における発生件数の増加(高温多湿な環境が細菌の繁殖を助長)

これらのポイントを踏まえ、日常生活においても食中毒の予防に努めることが大切です。安全な食生活を送り、健康を守るためには、情報を常にアップデートし、適切な対応を取ることが求められます。

食中毒予防のポイント

食中毒というと、飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生しています。普段、当たり前にしていることが、思わぬ食中毒を引き起こすことがあるのです。 家庭での発生では症状が軽かったり、発症する人が1人や2人のことが多いことから風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかれず、重症化することもあります。

知っておきたい食中毒の主な原因

食中毒を引き起こす細菌やウイルスには、どのようなものがあるのでしょうか。主なものを紹介しましょう。

細菌・ウイルス名 特徴
腸管出血性大腸菌 (O157やO111など) 牛や豚などの家畜の腸の中にいる病原大腸菌の一つで、O157やO111などがよく知られています。毒性の強いベロ毒素を出し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を引き起こします。腸管出血性大腸菌は食肉などに付着し、肉を生で食べたり、加熱不十分な肉を食べたりすることによって食中毒を発症します。乳幼児や高齢者などは重症化し、死に至る場合もあります。
カンピロバクター 牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌です。この細菌が付着した肉を、生で食べたり、加熱不十分で食べたりすることによって、食中毒を発症します。また、吐き気や腹痛、水のような下痢が主な症状で、初期症状では、発熱や頭痛、筋肉痛、倦怠感などがみられます。
サルモネラ菌 牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌です。牛・豚・鶏などの食肉、卵などが主な原因食品となるほか、ペットやネズミなどによって、食べ物に菌が付着する場合もあります。菌が 付着した食べ物を食べてから半日~2日後ぐらいで、激しい胃腸炎、吐き気、おう吐、腹痛、下痢などの症状が現われます。
セレウス菌 河川や土の中など自然界に広く分布している細菌です。土がつきやすい穀類や豆類、香辛料などが主な感染源となり、チャーハンやスパゲティ、スープなどが原因食品となっています。毒素の違いによって、症状はおう吐型と下痢型の症状に分けられます。おう吐型は食後1~5時間後、下痢型は食後8~16時間後に症状が現われます。セレウス菌は熱に強く、加熱による殺菌が難しいのが特徴です。ただし、少量では発症しないため、菌を増やさないことが予防のポイントです。
ブドウ球菌 ブドウ球菌は自然界に広く分布し、人の皮膚やのどにもいます。調理する人の手や指に傷があったり、傷口が化膿したりしている場合は、食品を汚染する確率が高くなります。汚染された食品の中で菌が増殖し、毒素がつくられると食中毒を引き起こします。ブドウ球菌は、酸性やアルカリ性の環境でも増殖し、つくられた毒素は熱にも乾燥にも強いという性質があります。汚染された食物を食べると、3時間前後で急激におう吐や吐き気、下痢などが起こります。
ノロウイルス ノロウイルスは手指や食品などを介して、口から体内に入ることによって感染し、腸の中で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスに汚染された二枚貝などの食品を十分加熱しないまま食べたり、ノロウイルスに汚染された井戸水などを飲んだりして感染するほか、ノロウイルスに感染した人の手やつば、ふん便、おう吐物などを介して、二次感染するケースもあります。